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Performance

『入院患者たち』

2016年1月29日@京都芸術センター

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入院患者たち
詩、音、映像によるインスタレーション(約15分)

詩:松井茂 山本一彰
音楽:檜垣智也
音響技術協力:能美亮士

監督・撮影:七里圭
撮影:高橋哲也 村上拓也 写真:豊嶋希沙
体操考案・出演:神村恵 体操コンセプト・出演:山形育弘
出演:足立靖明 鵜飼友美 宇波拓 岡啓輔 菊地敦子 北川裕介 黒川幸則 小林耕平 澤田太衛 鈴木啓士朗 関浪彩可 田中真琴 手塚真生 外島貴幸 中村佳子 中村ゆい 根本悠太 原牧生 福田桃加 八ツ田裕美 三鶴泰正 山川宗則 山口美衣奈
協力:末永賢 本田孝義 栗原亮 西嶋憲生

檜垣智也
アクースマティック作品による音の個展
会場:京都芸術センター・大広間
2016年1月29日(金)
http://kojiks.sakura.ne.jp/higaki.html
http://jsem.sakura.ne.jp/jsemwp/?p=1504

上映スタッフ:高橋哲也 松野泉 唐津正樹 斗内秀和 鶴岡真由
機材協力:京都DU 田中誠一
音響:大塚勇樹 牛山泰良
協力:岸本正高 田代啓希 天野知亜紀 岡村桃歌 木村円香 永松ゆか 檜垣ユミ 岡田智則 村川千晶 上田友美

主催:engine music / 川崎弘二
共催:京都芸術センター
助成:公益財団法人 野村財団

78畳の大広間に、10台のオープンリールデッキによる音響。
4ソース、6台のプロジェクターによる、障子襖(23枚)2面および床面と天井への投射。

●「入院患者たち」について(当日配布された公演プログラムより)

松井さんと山本さんからいただいたテキストには、正直唖然としましたが、しかし然もありなんとも思いました。映像を考えるにあたり、参照したのは以下の三点です。
・テキストのキーワードは「分散」である。
・言葉は分散を示すシルシでしかなく、計算したレイアウトこそが、詩そのもの。
・(松井さんのISへの関心が)指導者がいてその命令のもとで組織だった戦略展開しているわけではなく、分散して、ある意味ヴァーチャルな連携によって「国家」というドメインを設定しようとしているあたり。
そうして書かれた詩のタイトルが「入院患者たち」であることは、さして意識していなかったのですが、結果的にはそういう風にも見えるイメージになったかもしれません。
世界を捉える四角い枠組みは、今も正しさを装いそこにあるのだけれど、それはすでにスクエアとは言えないほどに歪んでしまっている。私たちが生きているこの世界はどこへ流れてゆくのでしょう?
光で区切られたあの窓の向こうに見える人々が何をしているのか、今は言わないことにしておきます。私は、檜垣さんから今回の依頼を受けた当初から、この作品を檜垣さんにも関わっていただいている最近の連作の一遍として考えていました。なので、それはやがて明らかになるかもしれません。もしまだ私が生きていて、この世界が平穏に続いてゆくならば。
最後にこの場を借りて、不敵な撮影に快く参加して下さった素敵な方々に改めて御礼を申し上げます。知る人ぞ知る、とんでもない面子が揃ってしまいました…。
(七里圭)

 本作は、檜垣智也の個展のために書き下ろした詩である。
 松井は、近年の国際情勢において、特定の地域を拠点とするわけでもなく、メディア技術を活用したヴァーチャルな連帯、つまり中心を持たずに世界各地に「分散」する新たなムスリムの動向に興味を持っている。本作では、現在のイスラム文化圏を「分散」という動向それ自体に抽象化し、これを詩として、山本一彰の計算によって布置した。山本には、22(文字)×22(行)のグリッド上に分散した布置を22 編依頼。「22」という数字は、MENA(中東・北アフリカ)を22カ国とみなす地政学の知見に依った。布置を表象するために、便宜的な文字列が必要となり、原とする1 編を準備した。この原型は、手許にあった2015 年発売の書籍から22 冊を適当に選び、各22頁の1行目、22 文字の引用し、刊行年月日順に並べたものである。タイトルは、アーサー・コナン・ドイルの『入院患者』(『シャーロック・ホームズの思い出』)を参照し、複数形にした。2015 年11月15日完成。
(松井茂)

 山本は、松井の提示した「分散」と「MENA22カ国」をキーワードに、22(文字)×22(行)のテキストの変換規則を構成した。「分散」という言葉は、対象となる各点を、ある光源(作用素)から照射(作用)することによって得た、写像の散らばり具合を示す。その作用素を定量的(地理的、統計的)なデータをもとに作り、作用素そのものを穴あきのテキストとして出力した。その直後のテキストは、作用素を実際に作用させた写像となっている。しかしながら、光源がどのようにあろうと、像がどのように写ろうと、対象は変化しない絶対的な尺度によって存在して(理由付けられて)いるはずである。
 そこで、22(文字)×22(行)という型が暗示する日本語において絶対的なシステムである「五十音順」を採用し、ひとつ目のテキストに出力した。
(山本一彰)