夢で逢えたら
(2004年/20分/35㎜)
バスで眠っているうちに、僕(大友三郎)は〝どこか″にたどり着く。よく知っているような、でもぜんぜん知らないような街。長い坂道、釣り堀の向こうの公園、揺れるブランコ。そして僕は、一人の女性(安妙子)に逢った。誰だろう?よく知っているような、知らないような、彼女の部屋…。
まるで夢の中に迷い込んでしまったような、寄る辺ない不思議な切なさを湛えた実験的な短編。この映画はサイレントではない。しかし、二人の登場人物を取り巻く現実の状況音から、彼らの声だけが抜き取られているので、何を話しているのか分らない。声が失われた世界でのボーイ・ミーツ・ガール。欠如を抱えた映像として『眠り姫』、『ホッテントットエプロン』の原型であり、以後の長編を胚胎している重要な作品。「この映画でできたことと、できなかったことが、僕のすべて」とは、七里の言。
出演/安妙子 大友三郎
撮影/高橋哲也 鈴木明彦 音楽/侘美秀俊 編集/宮島竜治 音響効果/岡瀬晶彦 整音/白取貢 記録/田口良子 プロデューサー/磯見俊裕